zumireの日記

本読んで考えたこと

小説にもてあそばれる快感が好き ブラックオアホワイト

浅田次郎を久しぶりに読む。この前は「降霊会の夜」で、2012年らしい。それも何年かぶりだった。

 

ブラック オア ホワイト

ブラック オア ホワイト

 

 タイトルからしてスミレの知ってる浅田っぽくない。

そんな人は多いと思うが、一時は浅田をよく読んでいた。「鉄道員」とか「蒼穹の昴」とか。あまりの泣かせ技にスミレは「浅田の泣かせ節」と命名していたくらいだ。いいように翻弄されるのに疲れて読まなくなった。泣かされた最後は「壬生義士伝」くらいか。

さて、今回は、夢の話である。

50代60代の、仕事にすべてを捧げてきた人には、この小説がもっとわかるのだろうか。何とも面倒くさい話だった。もと商社勤めの男が、過去を振り返りながら夢を語っていく。いちいちウザったらしい駆け引きや、当時の雰囲気を全て語り口調で進めていく物語は、展開が遅くてイライラする。だが、これまた文章がうまいので、すっ飛ばして適当に読むこともできない。

だらだらとした話の中に、布石があちこち撒かれている。ファンタジーかと思ったらミステリー色が濃くなってくる。ふむふむどうなるの~?

結果、不可思議な夢の世界の雰囲気にどっぷり浸かって終了。最後やっと話が進み一気に読めた。あぁたいして面白くもないのに、気分だけは乗っ取られ感。

泣かされることはなかったが、結局浅田の手の内にあるようだ。悔しい限りである。

 

次の本いこう。