もし自分なら母さんを調子にのせないよう反応しないな~今日も嫌がらせ弁当
スミレは料理するのは嫌いではない。自分が作ったものが美味しいと思う。
だが、弁当は別だ。
毎日弁当を作るのは苦痛だ。朝の時間がない中で、手早く美味しく見た目も栄養も考えてなんて、無理である。
キャラ弁なんてもちろん作る気全くない。
だから、こんなことする人は異世界の人だ。
キャラ弁とは言うけれど、これはほとんどがスライスチーズをキャンバスに、海苔で細かく絵や字を表現している。
おかずも装飾されてはいるが、ほとんど普通に美味しそうなちゃんとしたおかずだ。何かを形造っているのは、つまりキャラ弁と言える程なものは、チーズと海苔のアートな主張といった感じ。
だから普通に美味しそうで、それがいいなと思う。
弁当は愛情の印、とか言うけど、そうなんだろう。確かに愛だなと思う。
だが、その愛はこのお弁当を食べる人にのみ美味しいわけで、スミレが食べても胸焼けする愛なのである。
読んで面白いのも、その技巧と海苔で書いた主張であって、残念ながら娘への愛ではないのである。
弁当は限定された愛の形。
スミレには無関係な愛なので、こうして楽しんで読むことができる。
こうした偏った愛の形が、世界を面白くしているのだ。おたく愛と同じね。
次の本いこう。